【北千住 菊や アイスクリームラーメン 850円】客に仕返しするためのラーメン?(閉店)


時代に取り残された店とオヤジ

2013年3月実食

北千住駅から徒歩約15分、荒川の土手っぷちにある小さくて古ぼけたラーメン屋。時代劇に出て来る茶屋に思えた。

 

カウンターのみの店内。何年そのままなのか、壁にはホコリが積もったお品書きが貼られている。
愛想のいいご主人が自ら話してくれた。

 

最初は普通のラーメン屋だったが、忙しすぎて弟子たちが次々に身体を壊し始めた。ついには奥さんまで。
それで仕返しのために、客に毒を盛ってやろうと変なラーメンを始めた。
アイスクリームラーメンは、小学1年生の野球少年のアイディア。その子も今は社会人に。

 

「アイスクリームは、とんがりと四角とどっちがいい?」

 

と聞かれ、なんのことかわからず、ポカーンとしてしてしまった。

 

とんがりはコーンのやつ、四角はモナカだと説明されて納得。アイスクリームらしさを出したいので、とんがりをお願いした。

 

出て来たのは、コーンの100円アイスを半分に切って開いたのが乗ってるラーメンだった。
スープをひと口。

「冷た!」

冷やしラーメンだった。そりゃそうか。
どんぶりに入っているビジュアルから、どうしても頭の中にはアッツアツのラーメンのイメージなのだ。

 

麺は冷やし中華用でシコシコ。ごま油の風味漂う薄味の醤油系だ。
アイスをハシで食べる違和感たるや…。
冷たいクリームに、青のりのしょっぱさと風味がめっちゃじゃましてくる。

 

アイスクリームが溶け出し、徐々に味がクリーミーになってくるが、まあ、ウマくはない。

 

「ガリガリ君なんかいいんじゃないですか?」

 

そう言ったら、すでに作ってみたらしく、

 

「ありゃあ、甘すぎてマズい」

らしい(笑)。

 

「ハーゲンダッツも糖分が多すぎて、小学生に喰わせたら、半分行かないうちに飽きちゃう。次は別のものにチャレンジだよ」
「ご近所の人は、危ないといって喰わない」

 

そう笑っていた。

「最初は藤色ですね。それからだんだんと毒が効いて来て水色になるんですよね。お酢を入れると、ピンクのサラサラの飲むヨーグルトになる。いかに怪しいかね(笑)。もちろん、このアイスクリームラーメンも怪しいんだけどね(笑)。商売人だからちょこっと毒入れないとね(笑)」

アルカリラーメンのことだ。
ご主人の理論は、「一品で喰えるものはナニやっても喰える」らしい。
人気のものはない。5人で来れば5種類食べられる。

 

「みんな、店内ではうまいうまいって食べてるけど、外出ると『もう来ない』って言ってるよ(笑)」
「最初の客がうまく引っかかったから、他の客も引っ掛けてやろうかと思ってね(笑)」

 

ご主人の冗談が冴える。

「じゃ、ボクもその口ですね(笑)」と笑った。

「溶かさないうちに食べると、普通の冷やしラーメンね。溶かすとクリーミーになってくる。ウマいマズいは別にしてね(笑)」

「暖かいスープだと、中途半端にぬるくなっちゃうんだよ。中途半端は店とオヤジだけでたくさんだよ(笑)」

「昔、スマップの中居くんと信吾ちゃんの番組でアイスクリームラーメン披露したんだけど、作り方教えたら、熱いラーメンで作りやがった。冷たいから舌がマヒしてマズいのが分からずに喰えるのに(笑)」

 

食べてる間中、冗談なのか本気なのか、ご主人の口が止まらない。おもしろい。

 

「地域によって塩加減が微妙に違う。地方は東京より塩分が少し少ないかな。野田はキッコーマン醤油で煮詰めたようでないとダメ。だから、カツ丼タマ丼も醤油色だよ」

 

他にも色々な〝毒〟ラーメンがあり、次は何を食べに行こうかと思っているうちに、残念ながらご主人がご病気になられ、現在は閉店という情報。
筆者が変わり種グルメを食べ歩くきっかけになった店、商品だけに非常に残念です。
楽しいご主人様のご回復を切にお祈りいたします。